今回ご紹介するのはやや高価格帯に属する中国製のハイブリッド型イヤホン、MaGaosi K3 Proです。
ドライバは1ダイナミックドライバ(以下DD)、2バランスド・アーマチュアドライバ(以下BA)のハイブリッド構成。
MaGaosi K3 Proはコストの高いBA型ドライバを中域用と高域用に2つ採用し、低域用のDD型ドライバにはグラフェンダイアフラムという最新の素材を使用した贅沢な構成のイヤホンです。
既に多くのメディアで高評価を得ているイヤホンですが、私が聴いた感想もこの価格帯ではベストバイと思わせる、掛け値なしにいい音を鳴らすイヤホンと感じました。
さっそくレビューしていきたいと思います。
【イヤホン用語補足】
●ダイナミック型ドライバは一般的なダイナミック スピーカーと同様、ボイスコイルに音楽信号を流し振動板を振動させて音を出す方式です。歪みが少なく再生周波数帯域が広いこと、低音域の再現力が高いのが特徴です。
●バランスド・アーマチュア型ドライバはボイスコイルに電流を流し鉄片を振動させドライバーロッドが振動板に伝えることで音を出す方式です。中~高音域の再現力が高く解像感の高い音質が特徴です。その分、低域の表現は弱くなります。
また、ダイナミック型ドライバーに比べ構造が複雑で技術特許が多く、自社開発が困難なため高価になります。
●このようにバランスド・アーマチュア型、ダイナミック型ドライバには一長一短がありますので、高級イヤホンは低域用・中域用・高域用などの専用ドライバを用いて高音質を実現しています。
パッケージ
MaGaosi K3 Proの外箱です。
ラベル及びマニュアルは英語・中国語に加え日本語で記載されています。
見慣れないフォントですが支障はありません。
MaGaosi K3 Proの内箱です。
一般的な化粧箱の中にイヤホンや付属品が丁寧に梱包されています。
化粧箱の質感は並みという印象でした。
スペック
次にスペックです。
スペックで特徴的なのはインピーダンスが低めに抑えられていること、BA型ドライバーを2つ搭載するだけあり、再生周波数帯域が10Hz~30,000Hzと広範囲であることです。
●仕様
型番:MaGaosi K3 Pro
タイプ:耳かけ・カナル型イヤホン
駆動方式:1ダイナミック+2バランスド・アーマチュア
再生周波数帯域:10Hz~30,000Hz
インピーダンス:16Ω
音圧感度:101dB+-1dB
ケーブル長さ:120cm
プラグ:3.5mm L型金メッキ
最高出力:10mw
定格出力:1mw
付属品
MaGaosi K3 Proの付属品です。
高価格帯に属するイヤホンだけあり付属品は非常に充実。MaGaosi K3 ProはK3の後継機で、K3に対してイヤホンフィルターが交換できるようになっています。
イヤホンフィルターは不織布の有無の2種類が付属しており、不織布有りにするとややクリア感が失われます。
一般的な使い方をしている限り、不織布無しのフィルターで問題ないと感じます。
その他、CollectionAudioが販売するMaGaosi K3 Proは6ヶ月の品質補償と2年間以内の技術サポート付です。
イヤホン本体
シリコンイヤパッド×2(M/L)
スポンジイヤパッド×3(S/M/L)
フィルター×2(不織布有り/無し)
銀メッキケーブル×2
イヤホン収納ケース
取扱説明書
検品合格書
イヤホン
MaGaosi K3 ProはハウジングやYコネクタ、プラグなどの主要パーツに高精度ステンレスを採用しており硬質感のある印象です。
イヤホン脱着部や各部チリ合わせの精度も高くビルドクオリティーも不満無し。リケーブルも可能です。
イヤホンのサイズは金属製のハウジングで3ドライバを搭載しているため小さいとは言えませんが、気になるような大きさ・重さではありません。
音漏れはイヤーパッドを付けた状態のMaGaosi K3 ProとiPhone純正イヤホンを比較するとK3の方が遥かに小さいと感じました(これはEarPodsの形が私の耳にフィットしないことも影響しています)
外観は奇抜なものではなくシンプルな印象。個性的なイヤホンを求めている方には物足りないかも知れませんが、好き嫌いの無いデザインだと思います。
ケーブル、リモコン、プラグ
ケーブルは2本付属。
ブラックのケーブルはI型プラグでリモコン付き、グレーのケーブルはL型プラグでリモコンは付きません。
何れのケーブルも取り回しの高さと耐久性を高いレベルでバランスさせており、ハードに使う私としては安心して使うことができるため非常に好印象。リケーブルされる方も多いと思いますがこれで十分と感じるクオリティーです。
イヤホン部分近くのケーブルは俗にShure掛け(シュアがけ)と呼ばれる耳の外側にコードを巻く付け方に適した形状に加工されており、取り付けの容易さに一役買っています。
実際、Shure掛け加工は大変使いやすく、これに慣れてしまうと他のイヤホンは何故ついてないのか?と不満に思わずにはいられません。
音質レビュー
女性ボーカルのライブサウンドを聴く機会の多い私ですが、まず感じたのは高域の透明感と伸びの良さが好印象だったこと。静まり返ったライブ会場でボーカルの吐息が響くようなシーンも近くで聞いているような距離感と解像感があります。
それでいて刺さるような硬さのある高音ではなくエージングが進むと適度な柔らかさも表れ、中域にかけての音のつなぎはごく自然で集中していなければ分らないほど。高域から中域にかけて音のバランスが非常に良いイヤホンですが、この価格帯でこの音質は好印象どころか驚きすら感じました。
また、エージング中に感じたのは遮音性が高く音のゆがみも少ないため長時間聴いていても疲れにくいこと。高域から低域までバランスが良くボーカルの被りもないためクリアに聴き取れることも疲れの低減につながっていると思います。
実はエージングは現在進行形の状態でレビューを書いていますが、150時間を超えたあたりから低域の厚さが増しバランスの良さに迫力も加わってきました。今後がより楽しみなところです。
iPhone純正イヤホン「EarPods」と比較してみようと思いましたが、少し聴いて比較にならないと感じたので簡単に。
まずiPhone純正イヤホンは高音質とまでは言えないものの、バランスが良く聴きやすい音質と理解しています。音源を選ばないイヤホンです。
ただ、この価格帯のイヤホンと比べるのはやはり酷で全体的なバランスも、高域から低域にかけてそれぞれの音についても2ランクほど落ちる印象を得ました。
イヤホンをイイモノに変えた時、いい意味で「アッ!」と驚くことがありますが、この辺の印象はあまりオーディオ関係に詳しくない妻も同じようで、EarPodsの後にMaGaosi K3 Proを聴き比べてもらうと「全然違う。こっちの方がはっきり聴こえるし、いい音」と違いを実感していました。全ての人におすすめです。
まとめ
今回は手放しで称賛して良いイヤホンと感じています。
透明感と解像感のある高域、クリアでスピード感のある中域、(エージング中ではありますが)厚みのある低域が非常にバランスのいいイヤホンで、正直この音質を16,000円のイヤホンで実現されたことに驚いています。
なんだか今回はべた褒めになってしまったので少しだけケチを付けると、パッケージ外箱に若干擦れたような痕がありました(どのくらいの汚れかはイチャモンのレベルなので1番上の画像で確認してください。たぶん分りません)もう一つは説明書の日本語フォントが若干見慣れないくらい。
15,000円台のイヤホンとしては間違いなくベストバイだと思いますし、Amazonの在庫を見ても残り少なくなりつつありますので実際にも売れているのでしょう。もしかしたら今後のモデルはこの価格では出せなくなるかも知れませんので、気になる方は早めに手に入れて損はないはず。
MaGaosi K3 Proは本当に気に入りましたので、エージングが完了し本来の音を鳴らせるようになったらまた所感をまとめたいと思います。