平成29年1月の乳幼児等医療費補助制度改正で、広島市在住の方は今まで小学生未満は医療機関ごとに1日500円(月14日まで)の負担で済んでいたのが、小学生未満は1日1,000円、小学3年生未満は1日1,500円(月2日まで)に改正されます。
保護者の所得額によっては改正前と同様の1日500円負担となりますが、病気にかかりやすい乳幼児期の通院事情を考慮すると、多くの世帯で負担増になるのではないでしょうか。
出典 https://ftp.orca.med.or.jp/pub/data/receipt/chihoukouhi/p34/2016-09-26-hiroshima.pdf
今回の改正にあたり、平成28年3月25日に広島市議会が決議した広島市乳幼児等医療費補助条例の一部改正についての付帯決議内容は下記の通りです。
今後、少子高齢化が更に進み、子育てをしやすい環境を作ることが急務となっている中、広島市の厳しい財政状況にもかかわらず、より多くの子供の健全な発育を更に促進すべく行われたこの度の医療費補助の対象年齢の拡大は、大きな前進であると評価したい。
安心して子供を産み育てることができる「子どもと子育てに優しいまち」づくりを進めていくため、これまで本市議会は、乳幼児等医療費補助制度の対象年齢を拡大するよう求めてきたところであり、比較的所得の高い世帯の一部負担金が増えることにはなるものの、最優先の課題であった対象年齢を大幅に拡大させ、一人でも多くの子供が制度の対象となることは多くの保護者の願いをかなえるものである。
出典 http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/gikai/contents/1459753160750/index.html
決議案によると、医療費補助の対象年齢拡大となる今回の改正は子育てをしやすい環境を作る上で大きな前進と評価されていますが、果たしてそうなのでしょうか。
比較的所得の高い世帯の一部負担金が増える?
今回の改正では給与所得が295万2千円未満を超えた場合は負担が増えることになります。
給与所得を求める計算式、[与収入金額-給与所得控除額=給与所得給]から、おおよそ収入金額440万円が給与所得295万円になります。
国税庁が公表した(公務員の給与を上げるため、都合よく試算することで有名な)平成27年分民間給与実態統計調査結果によると年間の平均給与は420万円。
比較的所得の高い世帯ではなく「平均より5%取得が高い世帯の一部負担金が増える」が、正しい表現です。
多くの保護者の願いをかなえるもの?
多くの子育て世代が負担増になる状況で、どうしてこのような見解になるのでしょうか。
また、補助制度を利用できる回数が月当たり14日から2日までと大幅に削減されているのも、医療費負担の大きい世帯のさらなる負担増にならないか懸念されます。
広島市以外の制度は?
参考までに他所の制度を調べてみました。
東京都23区の乳幼児等医療費補助制度は所得制限無しで健康保険の自己負担分を全額助成しています。
多摩地域にある26市3町でみても制度に大差は無く、負担金があったとしても200円までと、子育て世代に優しい内容です。
お隣の岡山市は小学校就学前まで自己負担なし、小学生は1割負担。
これも子育て世代に優しい。
子育てしやすい広島県の実現を目指す
乳幼児期はお医者さんに診てもらうだけで安心します。
乳幼児期の病気に掛かり易い時期の負担を上げるのは間違いなく子育て世代に優しいとは言えません。
子育てしやすい広島県の実現を目指す広島には、イクボス同盟広島など、効果性が不明な活動の前に実効性のある子育て支援策を期待します。